そのせいもあって、サプリメントや機能性食品の市場においては、科学的エビデンスが希薄な商品が数多く出回っており、一見してユーザーからはどの商品が科学的裏付けを持つものかわかりにくい現状があります。私たちアスタリールは、例え短期的に収益に繋がらない様に見える研究開発にも積極的に投資を行ってきました。これは、真の意味でこのアスタキサンチンが新しい健康管理や予防というパラダイムを担っていくにあたり、サイエンスこそその実現の拠り所になる必要な礎であると確信しているからです。
1994年以降、自社での研究に加え、日米などの様々な外部研究機関と共に基礎並びに臨床研究を進めてきました。この25年間、天然アスタキサンチンの臨床応用における研究をリードしてきた自負を持っています。実際に、現在出版されている天然アスタキサンチン関連の臨床研究の内、半数を超える研究が私たちアスタリールのアスタキサンチンを使ったものです。
私たちアスタリールがアスタキサンチンに関する臨床研究を本格化させたのは2011年頃です。当時はアスタキサンチンの効果が最も実感としてわかりやすい領域として眼に注目、眼精疲労やピント調節機能についての臨床研究に力を入れていました。安全性を担保するための医薬品レベルの毒性試験に加え、眼科における研究をリードする研究機関の一つであった北海道大学と共同で臨床研究も進め、機能性栄養成分としては珍しい高いレベルのエビデンスを積み上げています。その成果こそが、機能性表示食品の中でも最も売れているカテゴリーであるアスタキサンチン含有眼科サプリメントの、科学的裏付けの柱となっているのです。
それから10年弱の年月が経ち、その間のアスタキサンチン研究の進歩も目覚しいものがあります。アスタキサンチンが持つ可能性の本質も徐々に明らかになりつつあります。私たちアスタリールはそれら研究や様々な実証事例を通じ、アスタキサンチンの本質はミトコンドリア機能の保護・改善にあるのではないかと考え、目下さらなる臨床研究での実証を進めています。ミトコンドリアとは細胞のエネルギーを作り出す重要な器官であり、アンチエイジングや老年病や生活習慣病の領域で近年注目が高まりつつあります。
つまり、歳を重ねる、健康を維持することの本質に関わる器官です。この観点から、ミトコンドリア機能が特に関与する領域である筋肉・代謝・脳に狙いを定め、それぞれの領域に先鞭をつける様な基礎・臨床研究を進めています。2015-2018年にかけて実施した米国ワシントン大学との臨床試験においては、加齢に伴って低下する筋機能(サルコペニア)の改善を示す大変重要な成果を示すことができました。40代を超えると、誰しもの筋機能が低下していきます。
さらに、運動や栄養に対する適合も年齢と共に落ちていきますので、この低下を止めることがなかなか難しいのです。筋機能の低下は寝たきりや生活の質(QOL)の低下に直結しますので、社会的にも大きな課題として捉えられてきましたが、これに対応する医薬品や方法がなかなか見出されてきませんでした。その様な中で、今回の臨床試験の結果は、アスタキサンチンを活用することで筋機能を改善することができることを示した大変意義あるものです。さらに、糖尿病の前段階となるインスリン抵抗性についても、目下米国カリフォルニア大学サンディエゴ校と臨床研究を進めています。これからも、このアスタキサンチンを通じ、新しい健康管理や予防のパラダイムを切り拓くための研究を加速していきます。