食品やサプリメント成分の世界においては、 時としてその品質がおざなりにされることがあります。本来、人の健康を促進するために摂るはずの食品やサプリメントが、安心安全を脅かすものであってはならないはずです。しかし、生育条件を大きく自然環境に依存しているがゆえの生産条件の不安定さや、激しい市場の価格競争の中で、高い品質を継続的に維持していくことは簡単なことではありません。玉石混合の食品・サプリメント市場にあっても、新しいヘルスケアのアプローチを示しその中心的な役割を果たし、さらには医療の現場でも活用するためには、その品質は重要な意味を持ちます。アスタリールでは、各国の食品・サプリメントに関する安全基準や関連法規を満たすことはもちろん、高いレベルの品質とそれに裏付けられる安心安全の実現を掲げています。
しかしながら、生育のコントロールが難しいアスタキサンチンの生産において、天然由来かつ遺伝子組み換えをしない育種を維持しながら、この高いレベルの品質を安定的に実現することの難易度は低いものではありません。アスタリールは、1994年に世界で初めて原料となるヘマトコッカス藻の商業生産に成功して以来、現在の生産方式・体制にたどり着くまで、様々な試行錯誤を続けて来ました。例えば1999年には、ハワイ・マウイ島で野外での生産設備をオープン。直径1.2メートルの透明なドーム型の培養槽を屋外に1000基設置し、ハワイの強い太陽光を利用した生産を目指しましたが、結局期待通りの高品質なアスタキサンチンの安定生産には至らず、2011年には当設備を閉鎖しています。これ以外にも様々な試行錯誤を経験し、たどりついた結論が今のアスタリール独自の完全屋内バイオリアクター方式なのです。
アスタキサンチンは、食品またはサプリメントとして摂取すると、血液に乗って身体中の様々な細胞に運ばれます。その独特な分子構造は様々な細胞の膜にフィットし、分子の中央にある共益二重結合がダメージの元となる活性酸素を無害化することで、代謝やシグナリングといった細胞同士のコミュニケーションで重要な役割を担う細胞膜をダメージから守る働きをすることが知られています。
私たち人間は、生きているだけで細胞にはストレスがかかり、それによって細胞は常にダメージを受けています。通常の場合、私たちの体に元から備わっている修復機能が働き、通常の細胞機能が維持されることになります。しかし激しい運動を繰り返したり、運動不足や偏った食事など不規則な生活習慣、さらに齢を重ねることで慢性化したダメージに対し、修復能力が限界を超えると、徐々に細胞の基本的な機能が低下し、生活習慣病などの慢性疾患に繋がっていきます。アスタキサンチンは、様々な研究によって、細胞膜上でその様な慢性的なダメージから細胞を守ることに役立つことが明らかになりつつあります。ビタミンCやE、βカロテンなどの様々な抗酸化物質も細胞膜上で似た様な作用を持つことも知られていますが、アスタキサンチンはその独特の分子構造ゆえに他の抗酸化物質とは異なるユニークな作用を発揮すると指摘されます。
さらに、アスタキサンチンは、細胞の中にあってそのエネルギー工場であるミトコンドリアの膜にも存在し、ミトコンドリアの機能を守る働きがあることも報告されています。近年、加齢や生活習慣病領域で注目を浴びるミトコンドリアに対し、作用を発揮している点は、機能性栄養成分としてのアスタキサンチンの最もユニークな点でもあります。